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作成者別アーカイブ: 林 隆
方位と敷地形状に対し”斜め”の住宅 (林建築設計室、長野県)
【今週のコラム528】 「はすに向く家」(諏訪市)の設計が完了しました。 この家のコンセプトはとてもシンプルで明快。 方位に対して、そして敷地形状に対して、はす(斜め)に向いていることです。この一点に想いは集約されています。 南西方向の眺望を最大限に生かすための2階リビング案。 建物中央の1階・2階の同じ位置に、斜めに貫く壁を設けてあり、その壁に沿って階段を上りきった瞬間、目の前には大パノラマが開けるという演出をしています。 斜めの壁には2つの役割があります。ひとつは構造的な要になっていること、もうひとつは壁の前後で用途の異なる場面が転換することです。 現在、着工に向けての準備中、秋に竣工の予定です。
左官職人の技 (長野県松本市の建築設計事務所)
格子の家(長野県安曇野市、2008年) 【住宅紹介123】 これは住宅の階段です。 床・壁・天井の仕上げはすべて漆喰塗り、幅木と回り縁もなく、一素材、一色彩でぐるりと塗り込みました。 左官屋さんが、コテの押さえ方や調合方法(色彩、硬さ、骨材の種類など)の違う検討用サンプルを作ってくれて、方向性を見い出していくのですが、最後は美的感覚とセンスに委ねるだけです。 まさに「左官職人さんの技」が生み出す不思議な空間になりました。 床・壁・天井が漆喰塗りの階段 2階の小さな窓からさし込む「光」が主役で、時間帯によって違う表情を見せてくれます。その背景となる「建築」は脇役です。 ちなみに「格子の家」という名前は、外観と特徴を表しています。
世界遺産 「ガラパゴス諸島」(エクアドル)
エクアドルの沖合い約1000kmの赤道下にあり、19の主な島と、小さな島や岩礁からなるガラパゴス諸島。 大陸とは隔絶された環境で独自の進化を遂げた固有種が多く、その特異な生物相などから、1978年に世界遺産第1号(12件)のひとつとして自然遺産に登録されました。 ガラパゴスオットセイ 島々にはここでしか見られない、ゾウカメ、イグアナ、オットセイ、ペンギン、アシカ、トカゲ、鳥類など貴重でかわいい動物たちが。 天敵となる大型哺乳類がいないため共存共栄ができているのですね。 動物の多くは人を恐れず、触れるくらい近づいても逃げないそうです。
世界遺産 「カッパドキアの岩窟群」(トルコ)
奇岩の景観とキリスト教徒が開拓した地下都市。 登録名は、「ギョレメ国立公園およびカッパドキアの岩石遺跡群」。 火山灰や溶岩が降り積もることにより、高さ20mにも及ぶ奇岩群ができ、有史以前から人が岩を掘り抜いて住居としてきました。 キノコや煙突のような形の岩が延々と続いています。 3世紀以降は、ローマ帝国からの弾圧を逃れたキリスト教徒が隠れ住み、地下都市を建設。居住部分は、居間、食堂、礼拝堂、ワインセラーなどが迷路のような通路でつながり、まるで人間が造ったアリの巣のようであるとも言われています。 住居には今も人が住み、岩窟ホテルもあります。教会も30ほど現存し博物館として公開されています。
住宅の外観デザイン (長野県の建築設計事務所)
黒壁の家(長野県松本市、2011年) 【住宅紹介122】 シンプルな外観の住宅。 西側の道路面は、最小限の要素だけで構成されています。 大きな一枚の壁があり、そこにあるものは、間取りとの連動性から、玄関戸・薄い庇・ひとつの窓のみです。 建築主さんと共に、本当に必要な物は何かを見極め、どこまでそぎ落とすことができるのか検討を重ねました。 立面図を描くとわかるのですが、線が少ないのです。最小限の線と、板張りの素材感、落ち着いた色彩(黒とグレーの調合色)により、”壁をデザイン”しました。 晴れている時と曇っている時とでは、まったく違う表情を見せてくれます。信州の情報誌・KURA(4月号)に掲載されています。書店やコンビニで立ち読みしてみて下さい。
世界遺産 「ドゥブロヴニク旧市街」(クロアチア)
赤レンガ屋根の街並みと紺碧の海の眺望はすばらしいです。 ”アドリア海の真珠”と称されるこの町は、14~16世紀、海上交易の要所として栄え、市街にはルネサンス様式の宮殿や聖堂などがあります。 旧市街は大半が海に突き出た岩場の上にあり、総延長1940mの城壁に囲まれ断崖絶壁のため、難攻不落の城塞都市となっていました。
キッチンとつながる食卓テーブル (長野県松本市の建築設計事務所)
「長い切妻の家」 (長野県千曲市、2011年) 【住宅紹介121】 キッチンと食卓テーブルを、製作家具として一体的に造りました。この家の特徴としては、双方の天板の高さをそろえていることです。キッチン廻りの床レベルを一段下げることによって、天板のゾロ納まりが実現できています。 アイランドキッチンの長さは2700㎜、奥行き900㎜。 高さの設定はすごく重要で、ご家族の身長や使い勝手によって設定しています。細かな話しになりますが、スリッパを履くか否か、まな板の厚みや置く場所によってもベストな高さは異なってきます。ちなみにこの家は880㎜です。 6人がけテーブルの長さは2100㎜。 一人当たりの幅が700㎜あると、大人がゆったりと食事をすることができます。 家の中心にこの長さ4800㎜の家具が据わり、皆が集う場所になっています。
世界遺産 「石見銀山遺跡とその文化的景観」 (島根県)
1923年(大正12年)の休山まで約400年にわたり採掘が行われ、最盛期には世界の銀産出量の3割 を占めたと言われる日本の銀。その大部分が石見銀山で生産されていたと考えられています。 世界遺産の鉱山遺跡は世界に15箇所あり、アジアでは1箇所です。 良質な銀を輸出しアジア・欧州との交流をもたらしたこと、鉱山開発の伝統的技術や遺跡が良好に残されていること、自然と共生しながら銀生産を実現させてきたことなどが評価されています。構成資産としては、 ①銀鉱山跡と鉱山町、②鉱山と港をつなぐ街道、③銀を積み出した港と港町。 石見銀山内には500以上の間歩(まぶ、銀鉱山を採掘した坑道のこと)があり、一帯には広葉樹を含む森林が多く残っています。 写真の龍源寺間歩は江戸中期に開発され、全長600mのうち約270mが有料公開されているようです。
世界遺産 「マチュ・ピチュの歴史保護区」(ペルー)
アンデス山脈の断崖に築かれた謎の空中都市遺跡。 石造建造物群(総数約200戸)と希少動物が住む周囲の森林も含めて“複合遺産”として登録されています。 密林に埋もれた遺跡は、1911年にアメリカの歴史家により発見されました。 標高約2400m、15世紀にインカ族が険しい山の尾根に空中都市を建設。 最盛期には750人が自給自足の暮らしをしていたと言われていますが、何のために造られ、わずか80年でなぜ放棄されたのかはいまだにわかっていません。 空中都市の別名もあり、大広場を中心に、神殿、段々畑、水路、墓地、住居などが整然とした都市計画のもと造られています。
世界遺産 「九寨溝の渓谷」(中国)
チベット族の秘境に点在する輝く湖群。 「九寨溝の渓谷の景観と歴史地域」は自然遺産として登録されています。 九寨溝は”9つの村がある谷”の意味で、これらの村には伝統的な暮らしを続けるチベット続の集落もあります。 標高2000m超に108の湖と沼、そしてそれらを結ぶ滝が連なっていて、その湖面は巨大なエメラルドの宝石を溶かしたように輝き、幻想的な光景を生み出しています。 青や緑に輝く理由は、水に含まれる大量の石灰分の沈殿により異常に透明度が高いため。 湖底の地形や倒木、藻が透けて見え、山々が鏡のように湖面に映えています。