「黒い筒の家」 (長野県富士見町、2007年) 【住宅紹介124】
静かな森の中、敷地は傾斜していて、何ヶ所か少し水が流れているような湿地帯でした。まずは道路に立ってこの場所を見上げ、周辺環境と建築形態のあり方を考えることから設計がはじまりました。傾斜する地形のつながりを建築という行為によって突然垂直の壁で遮ることのないように、そして建築物が姿を現した後も、地形のラインが低く流れるように見えることを意識しています。
断面形状が円弧を描く”筒状”のこの家は、地形の緩い傾斜に沿ってあたかも大地の中から湧き上がってきたような細長い形状で、地面から縁が切れて浮いています。円弧部分が屋根面、垂直部分が外壁面、水平部分が床面という ”3つの面”によって構成され、シンプルな構造を露出した明快な内部空間になっています。
JIA日本建築家協会優秀建築選、グッドデザイン賞(住宅部門)に選定されました。