12月17日(土)の朝竣工引渡しになり、その週末を利用して新居へのお引越しをしていただきました。設計の初期の段階で重要視した点は、敷地と道路にある高低差の有効利用、土地形状の特性を活かした配置計画、明快なゾーニングと合理的な動線計画、北側の歩道にある桜並木を室内の随所から見えるようにしたい、2階から南方向に見える松本市街の眺望を活かしたい、そして長期優良住宅の認定を受ける、というようなことでした。
建物の配置にはいくつかの可能性がありましたが、居間に続く半屋外空間のあり方、建物とガレージの関係、玄関と勝手口の位置付け、ゲストルームの独立性、水廻り一式と物干し場所の近い関係性、などを総合的に検討して最終案に至りました。
南側の日当たりのいい場所に、「屋外リビング」と呼んでいる”外と内を結ぶ中間領域”があります。その場所の一面はリビングと、もう一面はゲストルームと接しています。そして残りの二面は庭とつながっていて、そこには全面開放できるガラス戸が装備され、建具の開閉によって外部になったり内部になったりします。夏は建具を開放して屋根付きテラスのようなイメージ、冬は建具を閉鎖してサンルームにようなイメージで、暮らしの中で多目的な役割を果たすことができそうです。
設備的には太陽光発電や深夜電力蓄熱型の輻射暖房などにより、将来にわたるランニングコスト低減を図っています。来春、歩道の桜並木に花が咲く頃、敷地内にも植栽工事を行う予定です。見る庭・活動する庭・玄関の前庭が建物を囲み建築計画が完結します。(林 隆)