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【今週のコラム515】 「光のうつろうコートハウス(松本市)」竣工

   松本城や図書館へ徒歩圏内の敷地に建つ木造2階建ての家が竣工し、12月2日の夕方に引き渡しになりました。建築主さんと出会った頃はまだ土地を検討している段階で、何回か完成見学会にもお越しいただいていました。そして購入候補の土地が見つかり、私もいっしょに確認をさせていただいた後に敷地が決まり設計がはじまりました。    閑静な住宅街で隣家が接近していることから、光を心地よく室内に導入することと、周囲からの視線を遮りプライバシーを守ることの、相反するふたつの要素の両立が設計上の大きなテーマでした。敷地の特性を手がかりに導き出された建物・庭・駐車スペースの配置関係、中庭を囲むような平面形、天井高に変化のある断面の工夫によって組み立てられています。  外観的に高さの異なる3つの箱状の空間を、コの字型に配置して中庭を設けました。その3つは、平屋のゾーン(キッチン)、2階建てのゾーン(個室郡と水廻り)、その中間的な高さの平屋ゾーン(居間)という構成。中庭を囲む明快なゾーニングと、居間を最も環境のいい場所に据えることが重要でした。居間の天井高は3.5m確保され、高いところに設けた窓からは光と風が心地よく入ってきます。白い壁と木質を基調としたシンプルな内装は、光を演出する背景になっています。そこに映し出される光と影は、季節や時間の流れと共に移ろいながら暮らしを豊かなものにしてくれることでしょう。  日々の生活上の基本的なプライバシーはしっかりと守られていて、大事な場所に設けてある小窓からは、遠くの山並みをちらっと望むこともできます。山の頂には日に日に雪が増してきました。シンボルツリーだけは植えることができましたが、生垣や芝生・下草類は来春のお楽しみとして残してあります。そしてその頃には新しいご家族も誕生されて、より一層楽しく賑やかに暮らしていたける事を願っています。   【2011年12月8日、林 隆】

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